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事例紹介

中間流通業

SharePointとinvoiceAgent 文書管理を連携し、生産性を維持しつつ電帳法に対応

SharePointとinvoiceAgent 文書管理を連携し、生産性を維持しつつ電帳法に対応

株式会社 商船三井

代表者 取締役会長 池田 潤一郎
代表取締役 社長執行役員 橋本 剛
創業 1884年
業界 海運業
事業内容 ドライバルク、エネルギー、製品輸送、ウェルビーイングライフなど
URL https://www.mol.co.jp/

800隻を超える世界最大級の船隊を運航する総合海運企業グループである商船三井は、140年の歴史を通じて培った海運業を中心に、さまざまな社会インフラ事業を展開している。現在は2035年に向けたグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」のもと、海の貴さ・地球環境の貴さを大切にしながらグローバルな社会インフラ企業への飛躍にチャレンジしている。

  • 課題・要望
    • コンプライアンス徹底のために電帳法スキャナ保存の要件を満たす仕組みが必要
    • 1万人規模の従業員に与える影響を最小限に抑えつつ、電帳法を遵守したい
  • 解決策・ソリューション
    • invoiceAgent Bridge ServiceでSharePointの書類を自動的にinvoiceAgent 文書管理へ保存
    • AIに対応したOCRの導入
    • 導入パートナーの協力を得て基幹システム SAP S/4HANAをカスタマイズ
  • 効果
    • SharePointで文書を管理する現行の運用を変えずに、電帳法に連携できるよう運用を構築
    • 保管ルールの全社統一によってSharePointでの検索性が向上し業務が効率化
    • SAP S/4HANAの会計伝票とinvoiceAgent 文書管理上の証憑を紐付け、監査等で迅速な対応が可能に

お客様の声

1万人規模が生産性を落とすことなく電帳法に則った運用を実現

海運業を中心に社会インフラ事業を展開する株式会社商船三井(以下、商船三井)では、2023年3月に「商船三井グループDXビジョン」を掲げ、アクションプラン「DX Action 1.0」に沿ってDX推進役の育成や業務のデジタル化などに取り組んでいます。進捗に伴って現在は「DX Action 1.1」にアップデートし、ビジネスとカルチャーの両面からなる変革をさらに推進中です。今回、電子帳簿保存法(以下、電帳法)への対応を主目的としてウイングアークの電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent 文書管理」を導入しました。
グループの従業員約1万人が生産性を落とすことなく法令に則って証憑を保管できるように、すでに定着していたSharePointによる運用を変えることなく電帳法に対応した仕組みを整えました。当社をパートナーに選んでいただけた背景、導入の効果、今後の取り組みについて経理部 税理チーム コーディネーターの坂尾 弘貴さんにお話を伺いました。

プロジェクトの背景を教えてください。

坂尾様:当社は、クリーンエネルギーやICTを活用する先進技術の積極的な採用を進めています。それらによるイノベーションが、安全輸送や社会インフラを通じた付加価値の提供、海洋や地球環境の保全につながり、さまざまな社会課題の解決に貢献できると考えています。DXに取り組むことで、さらに成長スピードをあげていくにあたり、電帳法への対応が喫緊の課題でした。
経過措置期間が設けられているとはいえ、できる限り早期に対応してコンプライアンスを徹底したかったのです。すでに書類のペーパーレス化が進み、紙書類についてもスキャナで取り込みSharePoint上に保管できる環境を整えていましたが、電帳法の対象となる取引関係書類(領収書、請求書、見積書など)のスキャナ保存の要件は満たせていませんでした。請求書等の書類はどのような部署でも取り扱うものであり、現行の運用を変更した場合の影響は、グループ約1万人の従業員に及ぶことになります。
そうなると生産性が低下しますし、新たな運用の定着やそのためのサポートで別の課題が生まれます。そこで、なるべく現場に負荷をかけないように、それまでの業務を大きく変えることなく法令を遵守できる仕組みの構築を目指そうと考えました。

株式会社 商船三井 経理部 税理チーム コーディネーター 坂尾 弘貴様
株式会社 商船三井 経理部 税理チーム コーディネーター 坂尾 弘貴様

なぜ、当社をパートナーとして選んでいただけたのでしょうか。

坂尾様:電帳法対応プロジェクトを主導する当社の経理部では、情報システム部門に相当するグループ会社の商船三井システムズとともに、7社のSIer等に実現方法の提案を求めました。
各社の提案内容はさまざまでしたが、私たちが重視した「現行の運用をなるべく変えない」という要望に唯一応える提案をしてくれたのがCCT様だったんです。CCT様の提案は、SharePointでの文書管理の運用をほぼ維持したままで、invoiceAgent 文書管理に保管するというものでした。変更点は、請求書等の証憑とそれに対応する会計伝票がセットであることを明確にするために、会計伝票ごとにフォルダを作成してまとめるルールを適用するのみ。PoC(概念実証)によって実現性を確認した上で、次のような仕組みを実装しました。

1. 投入・更新されたSharePointのファイルを、APIを通じて監視対象フォルダに格納
2. invoiceAgent Bridge Serviceが監視対象フォルダを監視し、タイムスタンプの付与などルールに基づいてinvoiceAgent文書管理にファイルを自動保管
3. 保管したファイルの伝票番号をCCT独自開発のOCRで読み取り、SAP S/4HANA上の当該伝票データに、invoiceAgent 文書管理のプレビューURLを追加。これによりSAPS/4HANAの伝票をクリックするだけで証憑を参照できる

こうすることで日常の業務は大きく変わることがありません。監査や税務調査の場合にのみ、経理部担当者がinvoiceAgent 文書管理を利用するという運用上の最適解へと導いてくださいました。

導入効果について教えてください。

坂尾様:電帳法対応プロジェクトは、2023年6月頃にCCTさんが実現方法を提案し、PoCを8月にかけて実施した上で、12月までに構築を終えました。2024年1月から運用を開始し、決算があり会計伝票が最も多くなる3月を経験しながら1年弱が経ちましたが、invoiceAgent 文書管理は問題なく機能しています。1万人規模の利用者がおり、毎月2,000〜3,000ファイルが格納されているにもかかわらず、経理部への問い合わせは週に1、2件で目立った苦情もなく、3月も特に問題なく乗り越えています。invoiceAgent 文書管理の選定やこの運用が間違っていなかったと思います。また、以前はSharePoint上での保管に関するルールが全社で統一されておらず事業部によって異なっており、参照する際に手間取ることがありました。今回、ルールを見直して浸透させた結果、経理部だけでなく全社的に効率化を実現できたことも嬉しかったです。

「invoiceAgent 文書管理」を活用した今後の取り組みについて教えてください。

坂尾様:経理部では国際会計基準(IFRS)の導入に向けた取り組みを進めている最中で、大変な作業をミスなく終えなければなりません。また、経理部は人が入れ替わっても持続可能な組織でなければなりません。invoiceAgent 文書管理を、電帳法対応だけでなく、情報の共有やナレッジの蓄積などで活用することも検討していくつもりです。また、invoiceAgent 文書管理を商船三井グループ各社に推奨し展開することも視野に入れていきたいと思っています。